「戦略的先行業績管理システム」導入コンサルティングの3ステップ

 

1ステップ「先行業績管理」

→目標を達成するために生まれた業績管理手法の導入

 

「売上目標未達が常態化している」という足元の経営課題への対策として、業績管理の方法をこれまでの「過去管理」「同時管理」から「先行管理」に変える。

 

1.「目標」とは「努力目標」ではなく「必達目標」であるという会社方針を明確にする。…担当:経営者

 

2.目標を達成するために生まれた業績管理「先行業績管理」を導入する。

…担当:コンサルタント

 

《先行業績管理のポイント》

①〈先見〉各営業マンの月別に落とし込まれた目標を「当確(例年通りにやっていれば受注できる数字)」と「差額(新しく対策を打たねば受注できない数字)」に分離する。「真の目標」は「差額」である。

②〈先手〉各月ごとに「差額」以上の「差額対策(どこに・何を・いくら売るか)」を立案する。

*差額対策は受注確率でABCランク付けし、各ランク所定の掛け目(例えばA-80%・B-50%・C-20%)を掛けた数字に換算し計算する。

*必要な額の差額対策が立案できない場合は、新規開拓などによりカバーする必要がある。

③先々に渡る「差額対策」の中で、今月何らかの営業活動を起こすタイミングにあるものを抽出し、「当月の重点営業活動」として、いつ・どこに行き・何をするかを計画する。

*例えば、「来週金曜に、A社の開発担当と面談し、6ヶ月後発売予定製品の仕様を確認する」など。

 

④〈先行〉各営業は「当月の重点営業活動」を確実に実行する。

 

3.営業マネジャーは、各営業マンが「当月の重点営業活動」を確実に実行できるようCAHF(チェック・アドバイス・ヘルプ・フォロー)する。

…担当:営業マネジャー

 


 

2ステップ「先行業績管理システム」

→「先行業績管理」を様々な仕組みで補強し徹底する

 

1.「管理ツール」による補強

①営業各人が持っている見込み情報をオープン化、使える情報として分類・整理した「見込み情報管理表」

②訪問目的・訪問結果・次に打つ手の3点で押さえ、営業マネジャーのアドバイスを必須とする「日報」

③訪問すべき顧客に訪問すべきタイミング訪問するための「月間行動計画表」

④新規開拓先・重点既存客の営業活動経緯を時系列で確認するための「顧客別進捗状況管理表」

 

2.「会議」による補強

①毎月月初に営業メンバーによる営業計画発表・討議を行う。会議は「終わったことの反省」よりも「今後の対策」に重点を置く。また、「上からの指示・下からの報告」ではなく「参加者全員の討議」に重点を置く。

自分たちで決めたことだから、責任もって実行しようという状況をつくる。

②会議の基本的な順序は、「社長又はマネジャーコメント→前回決定事項の確認→各営業マンからの営業計画書(先行業績管理表)の発表→全体討議→コンサルタントコメント」

③全体討議では、既存客のインストアシェアアップ、新規開拓、販売促進、ライバル対策、新ルート・チャネル開拓、等々の営業課題について討議し、議事録に決定事項を残す。

④必要に応じて営業会議以外にメンバーを変えて「営業戦略会議」「開発・営業合同会議」「新規事業会議」などを行う。

 

3.「議事録の仕組み」による補強

①会議参加者は各自でメモを取らず議論に集中する。

②議事録は担当者一人が取る。それにより人によって決定事項の解釈がばらつくことがなくなる。

③議事録担当者は所定のフォームを使い、「何をするのか」「誰がやるのか」「いつまでにやるのか」の3点で議事録をつくる。

④議事録担当者は翌日期限で全員に議事録を配布する。

⑤議事録に記された決定事項は期限通り実行されたかマネジャーが随時チェックする。

⑥また次回会議冒頭にて実行結果を全員で確認。

 

4.「部門内競争の仕掛け」「活動における本人裁量権を漸次増やす」「決定に参画させる仕掛け」などにより、営業マンの動機づけ、モチベーションアップを図る。

 

 


3ステップ「戦略的先行業績管理システム」

→「先行業績管理システム」に市場縮小環境での勝ち残り営業戦略を組み込む

 

日本企業の中長期の「最重要経営課題」は、既に突入した長期市場縮小環境をどう勝ち残るかです。

日本国内市場が成長市場であったときのシンボリックな数値目標は「増収(売上の伸び)」でした。そしてこれからの市場縮小市場でのシンボリックな数値目標は、社員一人当たりの生産性であり、これを高水準に維持することです。

そのためにまず、数値目標を「売上」から「粗利」に切り替えておく必要があります。

 

中小企業が縮小市場で生き残る営業戦略は、大手・中堅企業や中小の強者と明確にすみ分ける「オンリーワン(差別化・棲み分け)戦略」であり、同業他社と競合しないか、競合しても勝てる事業構成への絞り込みが必要になります。

 

そして絞り込みによる粗利減少を補うため、高付加価値化した事業内容でエリア拡大するための「マーケティング(市場創造)戦略」がセットで必要になります。このマーケティング戦略には、新規顧客開拓から、新規市場開拓、新規エリア開拓、成長市場進出、勝ち組企業とのコラボ、新規事業立ち上げ、海外進出なども含まれます。

 

1.売上目標を粗利目標に切り替え「粗利管理」とする。

2.営業マン一人当たり生産性(粗利)向上を目標とする。

3.オンリーワン(差別化・棲み分け)戦略の立案と実行推進。

4.マーケティング(市場創造)戦略の立案と実行推進。